ジンの製造について


こちらのウイスキー・ガイドでは一般的なジンの製造について解説致します。

一般的にジン(GIN)といえばイギリスの「ドライジン」が大きな割合を占めます。ドライジンは連続式蒸溜器で蒸溜したグレーンスピリッツにジュニパーベリー(ねずの実)を含めたボタニカル(草根木皮)を加えて、単式蒸溜器で再蒸留したスピリッツです。

再蒸留にはグレーンスピリッツにボタニカルを直接入れて浸漬させ、その後、単式蒸溜器で蒸溜するタイプ(ビーフィータジンや、スタジオチャンネル動画のナンバーエイトジンなど)

もう一つは単式蒸溜器内部の上部にジン・ヘッドと呼ばれる円筒を取り付けて、その中にボタニカルを詰めて、蒸溜によって立ち上るスピリッツ蒸気と共に香味成分を抽出する方法です。代表的なジンがボンベイ・サファイアです。

【ボタニカルについて】

その味わいの主体となるボタニカルに関しては「ジュニパーベリー(ねずの実」が主体ですが、メーカーが打ち出したい味わいや哲学を表現するため多士済々です。代表的なブランドをご紹介致します。

 

ジュニパーベリー

 

プレミアムジンの代表的ブランドである、No.3 ロンドンドライジンは、「ジュニパーベリーを正面に据えてロンドンドライジン」の本質を表現したいというコンセプトから6種類のみのボタニカルを使用しています。

No 3 Gin
スコットランドアイラ島に位置するブルックラディ蒸溜所が作る「ザ・ボタニスト」は島内のボタニカルを究極的に探究し、複雑な味わいを生み出したジンとして、22種類の野生のボタニカルを使用しています。

 

ザ・ボタニスト


ジャパニーズクラフトジンとしてリリースされたサントリーの「六 ROKU」は、ジュニパーベリー、コリアンダーシード、アンジェリカルート、アンジェリカシード、カルダモンシード、シナモン、ビターオレンジピール、レモンピールの8種のスタンダードなボタニカルを使用した原酒に、桜花、桜葉、煎茶、玉露、山椒の実、柚子の皮の日本らしいボタニカルををグレーンスピリッツに浸漬させて、和テイストの原酒を製造。その2つをブレンドした手間のかかる製造で生まれた日本産のジンです。

六 ROKU GIN

スタジオチャンネルでの取材したナンバーエイトジンではレストラン事業という利点を上手く活かしながらアボカドやコーヒー豆もボタニカルとして採用しています。ウイスキーとは違い、熟成が必要のない分、ある程度人為的に様々な味わいの表現か可能です。

NO.8 Gin


No.8 Ginの製造方法とコンセプトについてはスタジオチャンネルにて。

メンバー限定解説動画はこちらから

 

【ジンの種類】


主な生産国

英国
ドライジン
現在の主流のジンです。ジュニパーベリーや柑橘系のボタニカルをメインにカクテルベースの主な材料として知られています。ジントニックやマティーニでもおなじみですね。

ロンドン(ドライ)ジン
ロンドンで製造されていなくてもロンドンジンと名乗ることができます。
その適応条件を簡易的に書くと下記となります
・度数が96%以上の農作物由来のアルコールをベースに、天然のボタニカルのみを使用すること、そしてそれを再蒸留したもの
・再蒸留後に水以外の添加物を加えないこと
・瓶詰のアルコールが37.5%以上であること

 


オールド・トム・ジン
現在はドライジンに砂糖を2%程度加糖して仕上げます。18世紀、まだ蒸留酒に雑味が多かった時代に生まれた甘口のジンです。トレンドとしては下火です。

プリマス・ジン
18世紀から英国南西部のプリマスで作られる香りの強度が強いジンです。プリマスは軍港のため、海軍御用達ジンとして知られており、日本のバーテンダーでも「プリマス」をハウスジンとして取り扱いするお店も昔は多かったようです。

オランダ
ジュネヴァ・ジン
連続式蒸溜器を使用せず、単式蒸溜器をグレーンスピリッツ及び再蒸留にも使用します。園分香りの濃度に厚みがあり、ボタニカルの香りが明瞭です。カクテルベースよりもストレートで飲まれることが多いため、日本市場ではほとんど注目されることはありません。

ドイツ
シュタインヘーガ―
シュタインハーゲン村で生まれたジンです。ジュニパーベリーを発酵させて蒸溜、グレーンスピリッツを加えて再蒸留します。ボトルを見かけたことのある方もいらっしゃるのではないでしょうか?

【日本市場】
日本のカクテルシーンにおいて、海外のジンブランドがプロのバーテンダーから長らく信頼されトレンドとして牽引していました。最近ではウイスキーよりも製造がしやすいなどのメリットもあり、大手メーカーからクラフト企業まで様々なジンがリリースされています。

その背景として、2018年頃からは英国を始めとしてバルーングラスで楽しむジントニックやソニックが流行りを見せました。特にPUBやバーシーンにおける女性の飲用機会が増え、クラフトのジンだけではなく、バーテンダーがその香りに合わせたフルーツや、プレミアムソーダやトニックなどを使用することで食事だけではなく、単体でも楽しめるドリンクとして定番化を見せ始めています。

記事著者

      
橋本崇宏
ザ・ウイスキー・スタジオ主宰。1981年生まれ。大学卒業後に、ウイスキー・スピリッツの専門商社へ入社。その後、スコットランドへ留学し、多くの蒸留所を訪問。帰国後は大手洋酒メーカーのウイスキーカテゴリーのマーケティング担当やソサエティ日本支部長を歴任。

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