ウイスキーの飲み方は、日本独自の飲み方もあれば、世界中で様々なスタイルがあります。ここでは国内外の代表的なウイスキーの飲み方についてご紹介させて頂きます。
- ハイボール
我々にとって一番馴染みのある飲み方はハイボールでしょう。
ハイボールの特集はこちらからご覧頂けますが、ハイボールは「ウイスキー+炭酸水」という組み合わせのカクテルです。
ご自宅から居酒屋、そしてBARまで幅広い業態で親しまれていて、食中酒として揚げ物や和食などとの相性も抜群ですし、「+唐揚げ」というプロモーションによって大きく認知を日本で広げました。
因みにスコットランドのパブでは「ハイボール」とオーダーしてもあまり通じません。もし炭酸割りを希望するのであれば ウイスキーの銘柄+ソーダ(炭酸水)とオーダーするのが無難でしょう。ただし氷は入っていない可能性が高いです。
‣水割り
水割りはサントリーやニッカウヰスキーがホステスクラブ・スナック・ホテルラウンジなどのボトルキープの飲み方提案として生み出されたといって過言ではありません。1980年後半~1990年頃には銀座エリアでは約3000店、ホステスクラブが増加していき、その中でサントリーオールドやリザーブ、ハイニッカを水で割るスタイルは日本独自の飲み方として定着しました。
現在はあまり馴染みのない飲み方スタイルですが、なんと海外ではリバイバルが起こっています。「MIZUWARI」というメニューを海外のバーやレストランで見かけることも増えてきました。残念ながらMIZUWARIはウイスキー+水ではなく、ウイスキー(あるいはスピリッツ)+ソフトドリンク(水、オレンジジュースなど)の材料で使用されていて、そこにレモンピールなどを添えるタイプのカクテルとして脚光を浴びています。
‣ストレート
スコットランドではストレートで飲む場合、ニート(Neat)と呼ばれます。
特に熟成年数が高いシングルモルトや味わいの変化が起こりやすいシングルカスクウイスキー(一つのカスクのみでボトリングされるウイスキー)は割材を混ぜるよりもストレートの方が間違いなく香りや味わいの特徴を捉えて頂くことができるでしょう。使用するグラスによっても香りのたち方や味わいにも変化がありますので、グラスの選び方は慎重にされたほうが良いと思います。(おすすめのテイスティングはこちらの記事で)また、数滴水を加えていくことで香りや味わいが多彩に変化していきますので、少しずつ加水していきながらその変化を楽しんでみましょう。
- オン・ザ・ロック
大きめのロック・グラスにウイスキーを注ぎ、軽くマドラーで混ぜる、まさにシンプル・イズ・ベスト。氷がウイスキーによって溶けていく様とその音を感じながらゆっくりと楽しんで頂きたい飲み方です。
ウイスキーが冷えることで香りは減少されますが、良いウイスキーはそれでも良いものです。あえて言えば、氷は市販のものがお勧め。空気が入っている氷は溶けやすいため、コンビニで売っている100円の氷で十分です。
- トゥワイスアップ
海外のブレンダー・ディスティラー(蒸留する人)と話をしている際によくこの飲み方の話になります。彼らは加水されたウイスキーの方が更に付加される香りや味わいの特徴と捉えるためにウイスキー1に対して常温の水1の割合で加水をします。一般にてウイスキーは40%のアルコール度数が多いので約20%のアルコール度数となることで飲みやすく・口当たりの良いウイスキーの飲み方として知られています。
- カクテルベースのウイスキー
世界の中でウイスキー程カクテルとして使われているお酒はありません、世界のカクテルランキングはこちらの記事へ。
オールドファッションドやマンハッタンなどはその代表格です。しかしながら、日本ではカクテルドリンカー以外はオーダーされません。なぜなら度数が高いというのが最も敬遠されることと、ショートカクテルの場合早く飲まないと味わいがやはり下がってしまうということが挙げられます。
その中でも、割と目にする機会のあるウイスキーの飲み方として、2つご紹介させて頂きます
・ミスト
ミストは「クラッシュアイス」にウイスキーを混ぜた飲み方です。日本では水割り同様、ホステスクラブ、スナック、ホテルラウンジなどで親しまれてきました。しかしながら、世界的に考えるとミストとしてのウイスキーカクテルでは「ミント・ジュレップ」が代表格でしょう。(他のカクテルですとラムベースのモヒートがミストスタイルです。)
ミント・ジュレップはクラッシュドアイスにバーボンウイスキー、砂糖、ミント、そして水もしくは炭酸水(本場はほとんど入っていませんが)を混ぜたカクテルで特に競馬場で飲まれる有名なカクテルとしてアメリカでの代表的なカクテルの一つです。
- ホットカクテル
ウイスキーのホットカクテルは寒い時期にぴったりの飲み物ですね、特に「アイリッシュ・コーヒー」はアイリッシュウイスキーとコーヒー、生クリームを使用したクラシックなホットカクテルです。ウイスキーを入れすぎるとアルコール感が感じてしまうのがホットカクテルの難しいところですが、柑橘系やスパイスとの相性もよいカクテルスタイルです。耐熱グラスを必ず用意しましょう。アイリッシュウイスキーの作り方は動画にてご紹介中、ぜひこちらからご覧ください。
さて、今回はウイスキーの飲み方についてご紹介させて頂きました。ビールやワインとは異なり、ウイスキーは飲みやすくするためにアルコール度数を下げる、温度を上げる・下げるなどその飲み方は多種多様です。
ぜひいろいろとお試しいただければ幸いです。
記事著者

- 橋本崇宏
- ザ・ウイスキー・スタジオ主宰。1981年生まれ。大学卒業後に、ウイスキー・スピリッツの専門商社へ入社。その後、スコットランドへ留学し、多くの蒸留所を訪問。帰国後は大手洋酒メーカーのウイスキーカテゴリーのマーケティング担当やソサエティ日本支部長を歴任。
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