ウイスキーの聖地とも呼ばれる「アイラ島」のウイスキー、アイラモルトとは

通称「アイラモルト」はスコットランド・アイラ島で作られるシングルモルトウイスキーの総称として呼ばれています。サントリー社が所有するボウモア、ラフロイグやアードベッグ、カリラなど、ウイスキー酒専門店や空港免税店では良くお目にかけるブランドです。

アイラ島

この島で生まれるシングルモルトウイスキーの味わいは、代表的な味わいとして「病院の消毒液」「正露丸」「スモーキー」「ピーティー」などが表現されこの独特の味わいによって熱狂的なファンが世界中に存在します。
好き嫌いは分かれますが、ほとんどのブレンデッド・ウイスキーに「隠し味」的な存在として原酒が使用されており、ジョニーウォーカーはカリラ蒸溜所やホワイトホースはラガヴーリン蒸溜所の原酒がキーモルトとして使用されています。

 アイラ島はスコットランドの西側に位置する小さな島で、日本の淡路島より少し大きい面積に現在9か所の蒸溜所が稼働しています。

アイラ島の中心地・ボウモア


現在稼働している蒸溜所を挙げると、ボウモア、カリラ、ラフロイグ、ラガヴーリン、アードベッグ、ブルックラディ、キルホーマン、ブナハーブン、アードナホです。そこにポートエレンやもう一つ新しい蒸溜所の建設許可が承諾され更に蒸溜所は増加傾向にあります。

スコットランド本土からはフェリー、もしくはグラスゴーからプロペラ機で渡航可能です。旅行の日程に合わせて色々とスケジュールを組むことができますが、小さい町のため、1年に1度のアイラフェスティバルでは世界中のファンが渡航するので、1年後先のB&B(Breakfast & Bed :民泊に近いもの)を予約しておかないと宿泊ができないほどの人気があります。

ウイスキー不況の80年代、アイラ島もその影響を受けたことは間違いありません。例えば前述のアードベッグ蒸溜所は80年代はほぼ稼働していない状況でした。現在は、2倍のアルコール収量を目指すべく改築が実施されています。

また、1983年に閉鎖され、精麦工場として稼働していたポートエレン蒸溜所も再びモルトウイスキーの生産を開始しました。アサヒビール社が輸入するブナハーブンもビジターセンターと駐車場を拡張し更なる観光客の受け入れを進めています。

写真はポートエレン、1983年に閉鎖後はモルトスターとして稼働している

 

アイラ島の特徴~ピート~

ピートは泥炭とも呼ばれ、苔やヒースなどが堆積してできた草(泥)の炭で、昔からアイラ島だけではなく、スコットランドでは暖炉の燃料として使用されていました。
スコッチの製法において、麦芽の乾燥の際に、このピートを燃やしてその熱気で麦芽を乾燥していくことで、独特の香りが麦芽に吸着します。所謂「ピーティーさ」というものはこの工程が由来となります。ピートはアイラ産とハイランド産でもその香りは大きく異なり、一般的にハイランド産の方が穏やかピート香に仕上がります。

 

 

アイラ島の特徴~フロアモルティング~

ボウモアやラフロイグなどの一部蒸溜所では全体の何割かを伝統的なフロアモルティングを現在実施しています。先ほどお伝えしたポートエレンのモルトスター(精麦専門業者)が各蒸溜所の希望するスモーキーな麦芽を大量に製造するためPPM(フェノール値)に合わせて麦芽を乾燥しますが、フロアモルティングは自社で大麦を水に浸して、その数日後床一面に太陽に触れさせることで発芽を促進させます。発芽が均一になるように、発芽した麦芽が常に重ならないように、「モルトマン」と呼ばれる職人がシャベルで攪拌します。その後、発芽した大麦麦芽をキルンでピートを使い乾燥させるのです。



この伝統的な手法が一つは手間がかかる、そして生産性の低さから、現在では精麦専門業者に委託することがほとんどですが未だにその工程を取り入れている蒸溜所が存在します。

 

アイラ島の蒸溜所とブランド

ここでは代表的なアイラ島の蒸溜所をご紹介します。 

 

ボウモア

サントリー社が所有する蒸溜所で、「アイラモルトの女王」と呼ばれます。アイラ島の中心地「ボウモア」に位置し、現存する最古のアイラ島のウイスキー蒸溜所です。ボウモアの港のそばにあることから、その熟成庫で熟成されたウイスキーは潮っぽさのニュアンスを上手く伝えてくれます。シェリー樽のバランスもよく、程よいボディとバランスの良い味わいから、アイラ島のウイスキーの代表的な銘柄として最初にご紹介します。

 

ラフロイグ

こちらもサントリー社が所有する蒸溜所の一つです。「ヨードチンキ」「病院の消毒液」「正露丸」など独創的なフレーズが飛び出すほどの味わいです。英国王室御用達と認定された初のシングルモルトでチャールズ皇太子も愛飲しているブランドです。

 

ブルックラディ

ブルックラディは「テロワール」にこだわりを持つ蒸溜所の一つです。スコットランド産やアイラ産100%の大麦、アイラ島で蒸溜、熟成、瓶詰も行うなど「アイラ」を体現したウイスキーの味わいに定評があります。2000年代前半まで一時的な閉鎖さ生産縮小などを繰り返していましたが、見事に復活。ピートをふんだんに使用したポートシャーロットやオクトモアのリリースは多くのピートウイスキーラバーから信頼を得ています。こちらの詳細はぜひスタジオ・チャンネルで、ブルックラディ蒸溜所のアンバサダージャック・チェンバース氏が解説していますのでご覧ください。

皆さま、如何でしたでしょうか。ピーティーなウイスキーといっても味わいは千差万別。アイラモルトは癖のあるウイスキーですが、気に入ってしまうとなかなか抜け出せない魅力があります。ぜひ一度お試しください。